製品ライフサイクル
①生成期(導入期)・・・・市場に導入された新製品サービスが、小さな需要しか獲得できない時期。
売上は、小規模で、資金の流出が多く利益はマイナス、顧客は、革新的採用者(イノベータ―)、競合他社はほぼ無し。目標は、技術と便宜の新結合。
②成長期・・・・需要が急速に拡大する時期。
売上は、拡大し、利益は増大するが、資金の流出も多い。顧客は、初期採用者(アーリーアダプター)、競合他社は増加し、目標は、売上の拡大/市場シェアの拡大
③成熟期・・・・成長が鈍化し、需要がピークに達する時期。
売上はピークに達する。資金の流入が多く、流出が少ないため、高利益となる。顧客は、追随型採用者(フォロワー)/買い替え需要であり、競合他社が減少し比較的安定する。目標は利益の確保/市場シェアの維持である。
④衰退期・・・・需要が減少する時期。
売上は減少し、利益は低下し、顧客も減少する。競合他社も減少し、目標は、事業の再定義を行い延命することで利益を得るか、事業の縮小、撤退である。
こうした産業の推移は、「製品ライフサイクル」と呼ばれる。横軸に時間、縦軸に製品サービスの売上額を取ると、製品ライフサイクルはS字曲線で表すことができる。
①~②生成期から成長期へ
技術と用途が結びつくことで、新しい製品サービスが誕生する。産業が生成してから、成長期へと飛躍していくためには、以下の要件が必要である。
①競争者間で共通する製品技術企画(デファクトスタンダード)が確立する。
デファクトスタンダードが確立すれば、関連産業が、(A)安心して投資できるようになる。(B)多様なニーズに応えられる製品群が揃い、(C)需要側(リスク)のリスクが低減する。(D)補完産業の整備が進む。(E)互いに不安を打ち消し合う好循環が生まれる。
②生活シーンに定着した安定した需要が確保される。
顧客のタイプ分類
①革新的採用者(自らが抱えた問題が解決されることを最優先する)(生成期)
革新的採用者の多くは、解決しなければならない問題を処理するために、まだ誰も購入したことのない製品サービスを自らの判断で探索、評価し、採用する人々である。
②初期採用者(問題解決と使い勝手の良さを考慮する)(成長期)
革新的採用者に続いて、比較的早い時期に新しい製品サービスを採用する人々である。初期採用者は、単に問題が解決されるかどうかではなく、問題がどのように解決されるか、すなわち、その使い勝手の良さという要素を評価して製品サービスを選択する。したがって、彼らに訴求するためには、タンに基本性能を高めるだけでは不十分で、使い勝手も含めたより広い視野から製品サービスを検討し直していくことが欠かせない。
③追随型採用者(手段と目的を一体のものとして受け入れる)(成熟期)
さらに、初期採用者に遅れて、製品サービスを購入する人々である。他者が使用しているのを見て購入するため、問題解決に対する切実さは少ない。要するに、これらの人々は、手段が与えられて、初めて、解決すべき問題を発見するのである。しかし、顧客としてのボリューム層が一番大きい。
ライフサイクル別マーケティング戦略
①生成期における革新的採用者に対するマーケティング
コミュニケーションの時間を十分に取ると同時に、様々な疑問や要求に応える必要がある。そのためには、製品サービスの特徴や使い方を熟知し、経験を積んだ自社の販売員やサービス担当者を使って人的なコミュニケーションを取るのが一般的な方法である。
②成長期への移行における初期採用者に対するマーケティング
産業として大きく成長していくには、さらに顧客層を拡大していくことが欠かせない。その対象は、初期採用者である。前述のように初期採用者は、製品の使いやすさも十四するため、基本的性能を超えた拡張的な便宜を備えた製品サービスを「拡張製品」と呼ぶ。拡張製品とは、初期採用者の期待に応えるための製品サービスのセットであり、コアとなる製品サービス+その使用や購買を容易にする様々な付加価値やサービスによって構成される。
③成長期のマーケティング
業界標準が成立し、拡張製品が登場すると、成長期に向けた製品の離陸が始まる。同時に、産業の枠組みに関する暗黙の合意が、競争関係、取引関係、消費者の間でできあがる。
生成期には、プッシュ戦略を採用されるが、成長期には、プル戦略が有効になる。それは、①製品の性能が明確になると値ごろ感がつかみやすくなり、価格の重要性が増す。②不特定多数の買い手に向けた販売が必要になるため、流通チャネルが広がる。③伝えられるべき情報が絞られていれば、マス広告が効果的であり、マス広告が採用される。④チャネルの拡大と単純化されたプロモーションがされるようになると、それと連動して、店頭ですぐにその違いが分かる製品の差別化の重要性が増す。
④成熟期のマーケティング
成熟期には、需要の伸びが鈍化するとともに購買行動のルーティン化が進み、売上を大きく伸ばすことはできないが、生成期から成長期に行った多額の投資を回収する時期であり、マーケティング目標を売上から利益へと転換する。具体的には、①市場細分化の重要性増大②競争地位別のマーケティング③メーカーから流通へのパワーシフトといった変化に直面する
⑤衰退期のマーケティング
成長期が続く産業もあるが、やがて多くの産業が衰退期を迎えることになる。そして、規模を縮小するか、撤退するかを選択することになる。だが、衰退期の産業でも、事業の定義を変えることで、成長する可能性がある。①顧客を変える。②機能を変える。③技術を変える。この3つを見直すことが必要である。
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