2009年7月15日水曜日

流通5~商業における信頼関係~

商業における取引関係において信頼関係は極めて重要な位置を占める。ここで言う信頼関係とは2つある。

(1)情報の信頼性・・・交渉などの情報交換において、取引相手に情報を開示する必要がある。                        
(2)行為の信頼性・・・交渉で決められた契約を守ったり、相手の期待する行為をすることである。

それでは、信頼関係を構築することに、どのようなメリットがあるのだろうか?

(1)取引費用の節約が生じることである。

(2)取引が安定的に継続し、互いに情報をオープンにすれば、売り手と買い手が互いに取引相手の知識を蓄えやすくなり、商品開発や生産の効率化が進む。

(3)信頼関係が形成され、取引が安定すると、取引相手に合わせた設備や技術の投資が進みやすくなる。


信頼関係を構築するメリットが多いにもかかわらず、信頼関係が形成できない原因はどこにあるのだろうか?

それには以下の3つの障壁が予想される。

(1)一方的なコミットメントの危険性
→信頼関係が売り手と買い手のどちらか一方による行動や態度では形成できないのである。相手企業が信頼関係の形成に積極的か消極的のいずれの場合でも、自企業は、消極的な方が有利となる。このような理由から信頼関係が形成されにくいと考えられる。

(2)市場取引への執着
→買い手が不安定な市場取引のメリットを過大に評価する傾向がある。つまり、短期的な利益を優先して長期的な信頼関係に繋がりにくいと考えられる。

(3)信頼関係による成果の不確実性
→信頼関係による成果が必ずしも確実ではないということである。また、成果が得られたとしても、パワー関係によって成果が一方に偏り、配分が少ない場合も、信頼関係が形成されないと考えることができる。


それでは、いかにして信頼関係を構築すればよいのか?

信頼関係の形成において重要となるのは、双方の信頼関係において意志を明確にすることであり、それが揺ぎ無いという確信を与えることである。

また、経営者同士や担当者同士の個人的な信頼関係を形成することも同様に重要である。そのことにより、個人的な信頼関係を失うことに関するペナルティーを設けることに繋がり、一方的コミットメントの危険性が回避される。

まとめ

信頼関係に関しては、継続的な関係をもたらすことで競争に通じた柔軟な商業の構造的変化を阻む原因の1つになると考えられるが、様々なメリットもあり、取引においては信頼関係を含んだ考え方が必要になる。近年盛んな流通系列化や、PB(プライベートブランド)開発においては、特に信頼関係が重要となるのである。

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