2009年7月24日金曜日

流通6~商業におけるパワー関係~

パワー関係とは?

パワーとは、特定の相手の行動を統制できる能力のことで、パワー関係は、そのような統制できる関係を意味する。統制とは、自分の意思に沿った特別な行動を他者にさせることである。

このような統制の最も典型的なものとして、流通系列化がある。

流通系列化とは?

商業者の仕入活動や販売活動などでの特別な作業をさせることに使い、それによって、あたかも垂直統合された販売拠点のように管理しているのである。また、大規模小売業者が仕入先に対してパワーを持つようになり、生産者者や卸売業者に特別な貢献をさせて、多頻度少量の配送システムを形成させたり、PBを生産させたりしている。これは、小売業者による統制である。


それでは、どのようにパワーが形成されるのか??

①依存関係によるパワー形成

パワー関係の有無に重要な影響を与えるのは、企業の規模ではなく、取引における依存関係である。依存関係は、企業Aが企業Bに商品を販売している場合、AのBへの依存度(販売依存度)、BのAへの依存度(仕入依存度)の2つによって決まる。

そして、この依存度は、
(A)相手との取引の重要度が大きいほど(B)その取引相手以外に代替的な取引相手が少ないほど大きくなる。

他にも、生産者がブランド戦略に基づいて消費者に強いブランドロイヤルティを形成した場合、生産者は小売業者に対してパワー関係を形成できる。他方で、小売業者が消費者にとって魅力的な立地などで差別化している場合は、生産者はその小売業者に依存しやすいと言える。

要するに、依存関係に関して言えば、取引における比重と商品や店舗の差別化によってパワー関係が規定されるといえる。

しかし、依存関係によるパワー形成には不都合な点がある。1つは、依存関係は産業構造に規定されるため、十分なパワー関係を形成できない可能性がある。2つめは、取引相手の違いによるパワー関係にばらつきが生じてしまう。そこでパワー資源活用される。


②パワー資源によるパワー形成

相手に経済的メリットがあるパワー資源を提供して、その見返りとして相手の行動を引き出すのである。

(A)リベート
生産者が商業者に商品取り扱い量や店舗内シェアを高めてもらいたいときに支出する数量リベートや、生産者の設定した販売促進計画に協力させるための販促リベートなど多様な種類がある。そしてリベートには以下のメリットがある。

第1に、リベートは特定の取引相手だけを差別的に優遇できる。第2に、リベートは価格よりも柔軟に運用しやすい。

逆にデメリットもある。第1に、リベートによって取引相手の市場による価格競争を促進してしまう恐れがある。第2に、リベートを出す基準が複雑で分かりにくいことや事後的に調整することがデータ処理の妨げになる。


(B)物資や情報によるパワー資源
物資や情報など価値のある資源を提供することでパワー関係を形成するのである。例えば、商品のパンフレットやPOP広告、陳列ケースなどである。


(C)競争制限によるパワー資源
販売する地域を制限テリトリー制度や販売する価格を統制する再販売価格維持制度などのように、商業者間での競争を制限することである。また、生産者が小売業者の競争を制限することは、競争から守られる小売業者の利益となるために、パワー資源となるのである。

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