2009年7月13日月曜日

流通1~商業とは何か~

中間業者を省くことは効率的か?

答えは否。なぜなら、中間業者を省くことによって、中間業者が本来負っていたコストが、製造業者あるいは、消費者にかかることになるからである。つまり、製造業者ー卸売業者ー小売業者ー消費者の流れの中で、それぞれが、役割を分担しているのである。

それでは、商業者(卸売り業者、小売業者)の役割とは何だろうか?

1、空間的効用

商業者が存在しなければ、商品を生産者から直接購入しなければならないため、不便である。つまり、商業者は、生産者と消費者の空間的な距離を埋める役割を果たすのである。

2、時間的効用

商業者が存在することで、製造業者は、製造に集中でき、商業者は販売に集中できるといった分業が成立するため、消費者は、店舗の営業時間中であれば、いつでも商品を入手できるといった時間的な効用を作り出したと言えるだろう。

3、所有権の移転というリスクを引き受ける

商業者じゃなくても、空間的、時間的効用は作り出せる。例えば、物流業者など。しかし、商業者は物流業者と違い、所有権を引き受け、リスクを負っているという違いがある。商業者が、なぜリスクを負うかと言えば、商品を仕入れることで品揃えを形成できるからである。

品揃えがもたらす経済的メリットとは?

品揃えを形成することで、商品流通を効率良くすることができる。そのメカニズムは以下の2つである。

1、取引数節約

品揃えの広さによってもたらされ、消費者が多様な商品を買い揃える場合に、取引の数を節約できる。
例えば、3人の消費者がおり、3種類の野菜を購入しなければならない場合、単純に3×3=9回の接触が必要である。しかし、1人の商業者が介在すると、生産者が商業者と3回取引し、消費者が商業者と3回取引する。つまり、3+3=6回の取引で済むのである。

2、情報縮約の効果

上記と同じ理屈で、商業者が品揃えを形成することで、消費者が欲しい商品を探索するコストが、節約されるのである。


それでは、いかにして流通費用が節約されるのだろうか?

まず、前提として、消費者に渡るまでの流通費用は以下の3つである。

1、消費者費用

消費者が負担する費用であり、商品を買う際の、金銭的な費用、時間や労力、心理的な負担を含んだ費用である。

2、商業者サービス費用

商業者がこなしている様々な流通サービスに対する費用である。

3、生産者サービス費用

商品を流通させるために生産者が負う費用である。そして、生産者の販売価格とは、2、3の費用を合わせた価格である。

商業者の品揃え形成による流通費用の節約とは、商業者が介在した場合に、1、2、3の総合計が、生産者と消費者が直接取引する場合に比べて低くなっていることにより表される。

それでは、具体的に、それぞれの費用節約について説明する。

1、消費者費用の節約

a、取引や探索における移動費用の節約

b、取引や探索の費用節約

2、生産者流通サービス費用の節約

商業者が介在することにより、生産者の交渉、取引費用が節約される。もし、商業者がいなければ、生産者は、各消費者との取引を行わなければならない。

3、流通サービス費用の節約

商業者が介在することにより、合計費用が少なくなる。消費者の立場に立てば、商業者から商品を購入する方が、生産者から直接購入するよりも、商品の店頭価格と、消費者費用を合わせた費用が少なくて済むのである。(数式は、p25)

まとめ

商業者とは、多くの製造業者から商品を買い集め、品揃えの深さや広さを形成することで、商品流通の効率性を高めるという貢献をしている。
つまり、商業者というのは、1、品揃えの広さや深さを形成し、2、生産者から消費者への商品流通を媒介する業者であり、多数の生産者の商品を取り揃えるには、生産者から独立している必要がある。

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