製品ライフサイクル
①生成期(導入期)・・・・市場に導入された新製品サービスが、小さな需要しか獲得できない時期。
売上は、小規模で、資金の流出が多く利益はマイナス、顧客は、革新的採用者(イノベータ―)、競合他社はほぼ無し。目標は、技術と便宜の新結合。
②成長期・・・・需要が急速に拡大する時期。
売上は、拡大し、利益は増大するが、資金の流出も多い。顧客は、初期採用者(アーリーアダプター)、競合他社は増加し、目標は、売上の拡大/市場シェアの拡大
③成熟期・・・・成長が鈍化し、需要がピークに達する時期。
売上はピークに達する。資金の流入が多く、流出が少ないため、高利益となる。顧客は、追随型採用者(フォロワー)/買い替え需要であり、競合他社が減少し比較的安定する。目標は利益の確保/市場シェアの維持である。
④衰退期・・・・需要が減少する時期。
売上は減少し、利益は低下し、顧客も減少する。競合他社も減少し、目標は、事業の再定義を行い延命することで利益を得るか、事業の縮小、撤退である。
こうした産業の推移は、「製品ライフサイクル」と呼ばれる。横軸に時間、縦軸に製品サービスの売上額を取ると、製品ライフサイクルはS字曲線で表すことができる。
①~②生成期から成長期へ
技術と用途が結びつくことで、新しい製品サービスが誕生する。産業が生成してから、成長期へと飛躍していくためには、以下の要件が必要である。
①競争者間で共通する製品技術企画(デファクトスタンダード)が確立する。
デファクトスタンダードが確立すれば、関連産業が、(A)安心して投資できるようになる。(B)多様なニーズに応えられる製品群が揃い、(C)需要側(リスク)のリスクが低減する。(D)補完産業の整備が進む。(E)互いに不安を打ち消し合う好循環が生まれる。
②生活シーンに定着した安定した需要が確保される。
顧客のタイプ分類
①革新的採用者(自らが抱えた問題が解決されることを最優先する)(生成期)
革新的採用者の多くは、解決しなければならない問題を処理するために、まだ誰も購入したことのない製品サービスを自らの判断で探索、評価し、採用する人々である。
②初期採用者(問題解決と使い勝手の良さを考慮する)(成長期)
革新的採用者に続いて、比較的早い時期に新しい製品サービスを採用する人々である。初期採用者は、単に問題が解決されるかどうかではなく、問題がどのように解決されるか、すなわち、その使い勝手の良さという要素を評価して製品サービスを選択する。したがって、彼らに訴求するためには、タンに基本性能を高めるだけでは不十分で、使い勝手も含めたより広い視野から製品サービスを検討し直していくことが欠かせない。
③追随型採用者(手段と目的を一体のものとして受け入れる)(成熟期)
さらに、初期採用者に遅れて、製品サービスを購入する人々である。他者が使用しているのを見て購入するため、問題解決に対する切実さは少ない。要するに、これらの人々は、手段が与えられて、初めて、解決すべき問題を発見するのである。しかし、顧客としてのボリューム層が一番大きい。
ライフサイクル別マーケティング戦略
①生成期における革新的採用者に対するマーケティング
コミュニケーションの時間を十分に取ると同時に、様々な疑問や要求に応える必要がある。そのためには、製品サービスの特徴や使い方を熟知し、経験を積んだ自社の販売員やサービス担当者を使って人的なコミュニケーションを取るのが一般的な方法である。
②成長期への移行における初期採用者に対するマーケティング
産業として大きく成長していくには、さらに顧客層を拡大していくことが欠かせない。その対象は、初期採用者である。前述のように初期採用者は、製品の使いやすさも十四するため、基本的性能を超えた拡張的な便宜を備えた製品サービスを「拡張製品」と呼ぶ。拡張製品とは、初期採用者の期待に応えるための製品サービスのセットであり、コアとなる製品サービス+その使用や購買を容易にする様々な付加価値やサービスによって構成される。
③成長期のマーケティング
業界標準が成立し、拡張製品が登場すると、成長期に向けた製品の離陸が始まる。同時に、産業の枠組みに関する暗黙の合意が、競争関係、取引関係、消費者の間でできあがる。
生成期には、プッシュ戦略を採用されるが、成長期には、プル戦略が有効になる。それは、①製品の性能が明確になると値ごろ感がつかみやすくなり、価格の重要性が増す。②不特定多数の買い手に向けた販売が必要になるため、流通チャネルが広がる。③伝えられるべき情報が絞られていれば、マス広告が効果的であり、マス広告が採用される。④チャネルの拡大と単純化されたプロモーションがされるようになると、それと連動して、店頭ですぐにその違いが分かる製品の差別化の重要性が増す。
④成熟期のマーケティング
成熟期には、需要の伸びが鈍化するとともに購買行動のルーティン化が進み、売上を大きく伸ばすことはできないが、生成期から成長期に行った多額の投資を回収する時期であり、マーケティング目標を売上から利益へと転換する。具体的には、①市場細分化の重要性増大②競争地位別のマーケティング③メーカーから流通へのパワーシフトといった変化に直面する
⑤衰退期のマーケティング
成長期が続く産業もあるが、やがて多くの産業が衰退期を迎えることになる。そして、規模を縮小するか、撤退するかを選択することになる。だが、衰退期の産業でも、事業の定義を変えることで、成長する可能性がある。①顧客を変える。②機能を変える。③技術を変える。この3つを見直すことが必要である。
2009年8月12日水曜日
2009年8月11日火曜日
取引関係
取引とは何か?
企業が活動を行う際には、他の組織との取引が必要となる。ここでいう取引とは、経済活動を営む独立した主体間の境界を越えた財の移転や、事業活動の相互調整のために行われる探索や調整、検証のための活動を言う。
自社でまかなうか、他社に委ねるか?
企業は、マーケティングとかかわる様々な業務について、自社内あるいは、自社グループ内でまかなうのか、それとも他社に委ねるのかを選択することができる。
前者を自社内への統合、後者を市場での取引と呼ぶことにする。
取引関係の広がり(垂直統合と水平的連鎖構造)
統合と取引という2つの方法の選択が何をよりどころとして行われるのかという問題についての検討を進めていく。以下では、マーケティングにおける選択問題の対象領域の広がりを2つに分けて確認する。
①垂直的連鎖構造(調達→組み立て→物流→販売→代金回収)
企業は、必要な人材、資源をインプットし、その結果産出された物財、サービスを産業の次に引き継いでいかなければならない。この局面がアウトプットである。このインプットとアウトプットは、最終的な消費者に到着するまで何度も繰り返される。この連鎖の広がりを垂直的連鎖構造と呼ぶ。なお、この垂直的な統合、取引の連鎖構造は、バリューチェーンあるいは、サプライチェーンと呼ぶ。それは、物財やサービスに付加価値を付け加え、その有用性を高めていくプロセスだと考えることができる。
②水平的連鎖構造(例えば、自動車⇔ガソリン⇔修理工場)
製品サービスの有用性を作り出すことに貢献しているのは、垂直的連鎖構造だけではない。買い手にとっての製品サービスの有用性は、製品サービスがどのような水平的連鎖構造の中に置かれているのかによっても異なってくる。製品サービスの有用性あるいは性能は、組み合わせ可能な製品サービスとの関係の中で決まってくる。こうした製品サービスの有用性を規定する水平的な製品サービスの連鎖は、バリューネットワークと呼ばれることがある。企業は、補完的な関係にある製品サービスの供給を自社でまかなう場合もあれば(統合)、他社に委ねる場合もある。
では、どのような要因が、統合か取引かの選択を規定しているのだろうか?
垂直あるいは、水平方向に統合を進めるには、様々なトレードオフがある。
①生産コストの条件
社外から調達した方が割安なのか、自社で生産した方が割安なのかという問題がある。統合するための財務力があろうとも、より低いコストで調達できるなら、調達した方が良さそうである。
②取引コストの条件
必要なサービスを社外から調達しようとすると、生産コスト以外にも、取引相手の探索や条件の交渉、監視に関わるコストの問題が発生する。また、取引には、機会があれば相手を出し抜いてでも利益を得ようする行動(機会主義的な行動)を考慮に入れなければならない。
③資源蓄積の問題
統合を進めることで、部品や原材料を内製化することで、自社製品の設計、生産に関わる重要な技術やノウハウを獲得できる場合がある。垂直的連鎖の沿った統合を行うことで、川上あるいは、川下の技術ノウハウを取得することができる。
だが、その一方で、経営資源の蓄積は、事業リスクの増大と背中合わせであることを見落としてはいけない。 ①莫大な資金が必要であること。②時間がかかる。③操業度が低下した際にリスクが高くなる。
上記をまとめると取引と統合のトレードオフ関係は以下の通り。
取引⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔統合
有利 ①資源取得の機動性 不利
有利 ②資源稼動の柔軟性 不利
不利 ③取引コスト 有利
不利 ④資源蓄積の水準 有利
有利 ⑤事業展開のスピード 不利
2つの原理のハイブリッド
現実に、調達や販売を行う際には、組織への統合と、この市場取引との中間に位置する第3の方法がある。この擬似組織的な取引の方法は、組織への統合と取引との中間的な性格を持つことから、中間組織と呼ばれる。
中間組織を活用する
中間組織は、組織への統合と市場での取引のの両者のメリットを併せ持ったものとなる。中間組織では、特定の取引相手との長期的な関係を前提としているため、信頼関係を形成しやすく、機会主義的な行動が発生しにくい。したがって、純粋な市場取引を行う場合より、取引コストは小さく、経営資源の囲い込みをはかることにもつながりやすい。一方で、中間組織は制度的には独立した企業間での取引であるため、完全に組織内で統合してしまう場合と比べるとはるかに柔軟性があり、リスクも低くなる。このように、中間組織では、取引関係は安定したものとなるが、競争の圧力も持続しており、取引を他社に奪われる可能性が残っていることから、イノベーションに対するインセンティブとなっている。
企業が活動を行う際には、他の組織との取引が必要となる。ここでいう取引とは、経済活動を営む独立した主体間の境界を越えた財の移転や、事業活動の相互調整のために行われる探索や調整、検証のための活動を言う。
自社でまかなうか、他社に委ねるか?
企業は、マーケティングとかかわる様々な業務について、自社内あるいは、自社グループ内でまかなうのか、それとも他社に委ねるのかを選択することができる。
前者を自社内への統合、後者を市場での取引と呼ぶことにする。
取引関係の広がり(垂直統合と水平的連鎖構造)
統合と取引という2つの方法の選択が何をよりどころとして行われるのかという問題についての検討を進めていく。以下では、マーケティングにおける選択問題の対象領域の広がりを2つに分けて確認する。
①垂直的連鎖構造(調達→組み立て→物流→販売→代金回収)
企業は、必要な人材、資源をインプットし、その結果産出された物財、サービスを産業の次に引き継いでいかなければならない。この局面がアウトプットである。このインプットとアウトプットは、最終的な消費者に到着するまで何度も繰り返される。この連鎖の広がりを垂直的連鎖構造と呼ぶ。なお、この垂直的な統合、取引の連鎖構造は、バリューチェーンあるいは、サプライチェーンと呼ぶ。それは、物財やサービスに付加価値を付け加え、その有用性を高めていくプロセスだと考えることができる。
②水平的連鎖構造(例えば、自動車⇔ガソリン⇔修理工場)
製品サービスの有用性を作り出すことに貢献しているのは、垂直的連鎖構造だけではない。買い手にとっての製品サービスの有用性は、製品サービスがどのような水平的連鎖構造の中に置かれているのかによっても異なってくる。製品サービスの有用性あるいは性能は、組み合わせ可能な製品サービスとの関係の中で決まってくる。こうした製品サービスの有用性を規定する水平的な製品サービスの連鎖は、バリューネットワークと呼ばれることがある。企業は、補完的な関係にある製品サービスの供給を自社でまかなう場合もあれば(統合)、他社に委ねる場合もある。
では、どのような要因が、統合か取引かの選択を規定しているのだろうか?
垂直あるいは、水平方向に統合を進めるには、様々なトレードオフがある。
①生産コストの条件
社外から調達した方が割安なのか、自社で生産した方が割安なのかという問題がある。統合するための財務力があろうとも、より低いコストで調達できるなら、調達した方が良さそうである。
②取引コストの条件
必要なサービスを社外から調達しようとすると、生産コスト以外にも、取引相手の探索や条件の交渉、監視に関わるコストの問題が発生する。また、取引には、機会があれば相手を出し抜いてでも利益を得ようする行動(機会主義的な行動)を考慮に入れなければならない。
③資源蓄積の問題
統合を進めることで、部品や原材料を内製化することで、自社製品の設計、生産に関わる重要な技術やノウハウを獲得できる場合がある。垂直的連鎖の沿った統合を行うことで、川上あるいは、川下の技術ノウハウを取得することができる。
だが、その一方で、経営資源の蓄積は、事業リスクの増大と背中合わせであることを見落としてはいけない。 ①莫大な資金が必要であること。②時間がかかる。③操業度が低下した際にリスクが高くなる。
上記をまとめると取引と統合のトレードオフ関係は以下の通り。
取引⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔統合
有利 ①資源取得の機動性 不利
有利 ②資源稼動の柔軟性 不利
不利 ③取引コスト 有利
不利 ④資源蓄積の水準 有利
有利 ⑤事業展開のスピード 不利
2つの原理のハイブリッド
現実に、調達や販売を行う際には、組織への統合と、この市場取引との中間に位置する第3の方法がある。この擬似組織的な取引の方法は、組織への統合と取引との中間的な性格を持つことから、中間組織と呼ばれる。
中間組織を活用する
中間組織は、組織への統合と市場での取引のの両者のメリットを併せ持ったものとなる。中間組織では、特定の取引相手との長期的な関係を前提としているため、信頼関係を形成しやすく、機会主義的な行動が発生しにくい。したがって、純粋な市場取引を行う場合より、取引コストは小さく、経営資源の囲い込みをはかることにもつながりやすい。一方で、中間組織は制度的には独立した企業間での取引であるため、完全に組織内で統合してしまう場合と比べるとはるかに柔軟性があり、リスクも低くなる。このように、中間組織では、取引関係は安定したものとなるが、競争の圧力も持続しており、取引を他社に奪われる可能性が残っていることから、イノベーションに対するインセンティブとなっている。
競争戦略
競争対応の枠組み
製品ポートフォリオ管理によって各事業部への基本的投資行動が決定されたのを受け、各SBU(戦略的事業単位)ごとに事業戦略が策定されるが、この事業別の競争対応の戦略が、4Pを中核とする各機能戦略を方向づけるのである。
マイケルポーターの3つの基本戦略
ポーターによると企業の競争戦略は、他者に対する競争優位のタイプ(コスト優位か差別化か)と戦略ターゲットの幅(広いか狭いか)に基づき以下の3つ(4つ)に分類される。そして、それは、競争優位をいかに確立するかという企業の根本的な競争対応を規定するものである。
①コストリーダーシップ戦略
コストという判断基準が明確であり、低コストが目的となる。コスト削減の対象となるのは、生産、調達、流通、開発、情報コストなどである。そのための戦略変数は、規模の経済性、操業度、チャネルの共同行動、垂直統合、参入時期、技術投資など全ての企業活動が考えられる。例えば、OEM、PBが多く見られるのは、操業度の向上による生産コストの優位の獲得を目的とした戦略展開である。
②差別化戦略
消費者が欲する何らかの次元において、自社を他社から差別化する戦略である。差別化の対象としては、製品、販売チャネル、広告販促、アフターサービス体制などその他多くの企業活動がある。消費者が、差別化されていると感じるのは、他社製品に比べ、消費者が支払うコストが低いか、消費者が得るパフォーマンスが高い時である。コストは価格が安いだけでなく、維持、取り換え、時間などの消費者コストも含む。また、パフォーマンスを上げるためには、客観的に優劣を判断できる思考型属性と、主観的な判断に伴う、感情型属性を考慮することが重要である。
③集中戦略(コスト集中、差別化集中)
集中戦略は、ターゲットを業界平均より狭く限定し、そこに集中する戦略であり。競争優位のタイプによってコスト集中と差別化集中に分けられる。どちらにせよ、狭いターゲットに集中することで、そのターゲットに最適な戦略を展開することが可能になる。ターゲットを広く取る競合は、集中戦略を取る特定ターゲットに最適な手はなかなか打てない。つまり、広ターゲット企業は、特定ターゲットに対して最適な戦略を打ちづらいのである。例えば、トヨタは、フルライン戦略を展開しているため、高級スポーツカー市場では、集中しているポルシェに勝てない。ターゲットの限定の仕方は、買い手と製品という2つの方向が考えられる。
製品ライフサイクル(PLC)別戦略
PLCは、製品のライフサイクルの展開に伴うマーケティングミックス構築の動態的な方向づけを行うものである。
①導入期
新製品の知名と、トライアルが最大目的となるので、広告販促に力を置きつつ、ベーシックな製品で入り込めるチャネルから徐々に展開していく。
②成長期
競争が激しく、シェアの最大化が目的となるため、価格を下げ、チャネルを広げていくことが中心となる。
③成熟期
成長率が鈍化し、売上拡大が難しくなり、利益最大化が目的となるため、多様なブランドモデルの展開を中心に広告を増やして、ブランドロイヤルティを高めていく。
④衰退期
支出削減とブランド収穫が目的なので、コスト削減に向けてのあらゆる戦略を4P全般にわたって行う。
具体的には http://maki-jun77.blogspot.com/2009/08/2.htmlに投稿済み。
競争地位別戦略
競争地位別戦略は、市場シェア順位という競争地位別の4P戦略を方向づけるものである。ある程度、競争者が安定している必要があるため、競争地位別戦略は、特に、PLCにおける成熟期に妥当な戦略である。
①リーダー(最大シェア、利潤、名声、イメージ/全方位/フルカバレージ)
市場トップ企業のリーダーは、現在の最大シェア、最大利潤、名声を維持することが目標となるため、基本方針は、市場内のすべてに対応する全方位型となり、ターゲットも全ての顧客を対象とするフルカバレッジとなる。この方針は、4P戦略を方向づける。製品は、フルライン、チャネルは開放型、プロモーションも高水準、価格も、名声の維持も考慮して中~高価格に設定される。リーダの戦略の定石には以下のものがある。
(A)周辺需要拡大
業界全体の需要を底上げすることで、新規拡大分がシェアに応じて分配されるため、結果的にリーダーのメリットが一番大きい。
(B)非価格競争
リーダーが特に遵守すべき戦略である。理由は、価格競争は、最大シェアのリーダーに利潤縮小のダメージが一番大きく、確立したブランドエクイティ、イメージの低下をもたらすからである。ただ、価格引き下げに他社が追随してこない場合(コスト競争力で勝てないと判断される)は、リーダーと言えど、価格競争が可能となる。
(C)同質化対応
簡単に言えば、他社製品をイミテーションすることである。リーダー企業は、他社と同じことをしても、販売力、ブランド力、技術生産力の優位性により、下位企業に勝つことができる。
②チャレンジャー(市場シェア/差別化/セミフルカバレージ)
2番手企業のチャレンジャーは、リーダーのシェアに追いつくことが目標となるため、4Pを含め、全てにおいて、リーダーとの差別化によってシェア拡大を計っていくことになる。ただ、経営資源でリーダーに劣るため、セミフルカバレージから始めざるを得ない。チャレンジャーの定石は、徹底した差別化であるが、リーダーが同質化戦略を取ってくるため、同質化できない差別化を目指すことになる。例えば、チャネルを維持する必要のあるNECや松下にとって、デルやソニーの戦略に対してそれとは同質化できない。他には、規格戦略に関しては、技術規格が異なっているため、同質化されにくい。
③フォロワー(生存利潤/模倣/経済性セグメント)
3番手以下の企業はのフォロワーは、トップ企業の座を奪うほどの経営資源は持ち合わせてないため、まずは、着実に利潤をあげていくことが目標となる。そのためには、リーダーが成功した戦略を模倣し、製品開発などのコストを極力抑えることが重要である。ターゲットは中心市場では勝てないため、 中~低価格志向の経済性セグメントを中心に狙い、それに合わせた4Pを展開することになる。
定石は、リーダーはじめ成功企業の模倣を低価格で実現することにある。ただ、圧倒的なコスト競争力のある上位企業に対して低価格で挑むことは難しく、上位企業が力を入れていないセグメントに追い込まれることになる。
④ニッチャー(利潤、名声、イメージ/集中/特定市場セグメント)
シェアではなく、利潤と名声、イメージを目標として集中戦略をとる。すなわち、ターゲットは特定市場セグメントに限定し、そこに到達するためにチャネル、プロモーションは特殊になる。製品、価格は、高めを狙い、高収益を目指す。定石は、集中による特定市場でのミニリーダ戦略である。消費財では、高級服、高級車、高級オーディオなど、高品質、高価格市場へのニッチャー戦略がよく見られる。例えば、アイスクリームにおけるPBが増えたことで、NBが価格を下げざるを得なかったのに対して、ハーゲンダッツなどのプレミアムアイスクリームにとって、影響は少ない。
以上であるが、PLCなどの通時的な流れのなかで、また、競争地位などの共時的な構造のなかで、いかに競争優位を確立するかというグランドデザインをもてるかどうかにかかっている。
製品ポートフォリオ管理によって各事業部への基本的投資行動が決定されたのを受け、各SBU(戦略的事業単位)ごとに事業戦略が策定されるが、この事業別の競争対応の戦略が、4Pを中核とする各機能戦略を方向づけるのである。
マイケルポーターの3つの基本戦略
ポーターによると企業の競争戦略は、他者に対する競争優位のタイプ(コスト優位か差別化か)と戦略ターゲットの幅(広いか狭いか)に基づき以下の3つ(4つ)に分類される。そして、それは、競争優位をいかに確立するかという企業の根本的な競争対応を規定するものである。
①コストリーダーシップ戦略
コストという判断基準が明確であり、低コストが目的となる。コスト削減の対象となるのは、生産、調達、流通、開発、情報コストなどである。そのための戦略変数は、規模の経済性、操業度、チャネルの共同行動、垂直統合、参入時期、技術投資など全ての企業活動が考えられる。例えば、OEM、PBが多く見られるのは、操業度の向上による生産コストの優位の獲得を目的とした戦略展開である。
②差別化戦略
消費者が欲する何らかの次元において、自社を他社から差別化する戦略である。差別化の対象としては、製品、販売チャネル、広告販促、アフターサービス体制などその他多くの企業活動がある。消費者が、差別化されていると感じるのは、他社製品に比べ、消費者が支払うコストが低いか、消費者が得るパフォーマンスが高い時である。コストは価格が安いだけでなく、維持、取り換え、時間などの消費者コストも含む。また、パフォーマンスを上げるためには、客観的に優劣を判断できる思考型属性と、主観的な判断に伴う、感情型属性を考慮することが重要である。
③集中戦略(コスト集中、差別化集中)
集中戦略は、ターゲットを業界平均より狭く限定し、そこに集中する戦略であり。競争優位のタイプによってコスト集中と差別化集中に分けられる。どちらにせよ、狭いターゲットに集中することで、そのターゲットに最適な戦略を展開することが可能になる。ターゲットを広く取る競合は、集中戦略を取る特定ターゲットに最適な手はなかなか打てない。つまり、広ターゲット企業は、特定ターゲットに対して最適な戦略を打ちづらいのである。例えば、トヨタは、フルライン戦略を展開しているため、高級スポーツカー市場では、集中しているポルシェに勝てない。ターゲットの限定の仕方は、買い手と製品という2つの方向が考えられる。
製品ライフサイクル(PLC)別戦略
PLCは、製品のライフサイクルの展開に伴うマーケティングミックス構築の動態的な方向づけを行うものである。
①導入期
新製品の知名と、トライアルが最大目的となるので、広告販促に力を置きつつ、ベーシックな製品で入り込めるチャネルから徐々に展開していく。
②成長期
競争が激しく、シェアの最大化が目的となるため、価格を下げ、チャネルを広げていくことが中心となる。
③成熟期
成長率が鈍化し、売上拡大が難しくなり、利益最大化が目的となるため、多様なブランドモデルの展開を中心に広告を増やして、ブランドロイヤルティを高めていく。
④衰退期
支出削減とブランド収穫が目的なので、コスト削減に向けてのあらゆる戦略を4P全般にわたって行う。
具体的には http://maki-jun77.blogspot.com/2009/08/2.htmlに投稿済み。
競争地位別戦略
競争地位別戦略は、市場シェア順位という競争地位別の4P戦略を方向づけるものである。ある程度、競争者が安定している必要があるため、競争地位別戦略は、特に、PLCにおける成熟期に妥当な戦略である。
①リーダー(最大シェア、利潤、名声、イメージ/全方位/フルカバレージ)
市場トップ企業のリーダーは、現在の最大シェア、最大利潤、名声を維持することが目標となるため、基本方針は、市場内のすべてに対応する全方位型となり、ターゲットも全ての顧客を対象とするフルカバレッジとなる。この方針は、4P戦略を方向づける。製品は、フルライン、チャネルは開放型、プロモーションも高水準、価格も、名声の維持も考慮して中~高価格に設定される。リーダの戦略の定石には以下のものがある。
(A)周辺需要拡大
業界全体の需要を底上げすることで、新規拡大分がシェアに応じて分配されるため、結果的にリーダーのメリットが一番大きい。
(B)非価格競争
リーダーが特に遵守すべき戦略である。理由は、価格競争は、最大シェアのリーダーに利潤縮小のダメージが一番大きく、確立したブランドエクイティ、イメージの低下をもたらすからである。ただ、価格引き下げに他社が追随してこない場合(コスト競争力で勝てないと判断される)は、リーダーと言えど、価格競争が可能となる。
(C)同質化対応
簡単に言えば、他社製品をイミテーションすることである。リーダー企業は、他社と同じことをしても、販売力、ブランド力、技術生産力の優位性により、下位企業に勝つことができる。
②チャレンジャー(市場シェア/差別化/セミフルカバレージ)
2番手企業のチャレンジャーは、リーダーのシェアに追いつくことが目標となるため、4Pを含め、全てにおいて、リーダーとの差別化によってシェア拡大を計っていくことになる。ただ、経営資源でリーダーに劣るため、セミフルカバレージから始めざるを得ない。チャレンジャーの定石は、徹底した差別化であるが、リーダーが同質化戦略を取ってくるため、同質化できない差別化を目指すことになる。例えば、チャネルを維持する必要のあるNECや松下にとって、デルやソニーの戦略に対してそれとは同質化できない。他には、規格戦略に関しては、技術規格が異なっているため、同質化されにくい。
③フォロワー(生存利潤/模倣/経済性セグメント)
3番手以下の企業はのフォロワーは、トップ企業の座を奪うほどの経営資源は持ち合わせてないため、まずは、着実に利潤をあげていくことが目標となる。そのためには、リーダーが成功した戦略を模倣し、製品開発などのコストを極力抑えることが重要である。ターゲットは中心市場では勝てないため、 中~低価格志向の経済性セグメントを中心に狙い、それに合わせた4Pを展開することになる。
定石は、リーダーはじめ成功企業の模倣を低価格で実現することにある。ただ、圧倒的なコスト競争力のある上位企業に対して低価格で挑むことは難しく、上位企業が力を入れていないセグメントに追い込まれることになる。
④ニッチャー(利潤、名声、イメージ/集中/特定市場セグメント)
シェアではなく、利潤と名声、イメージを目標として集中戦略をとる。すなわち、ターゲットは特定市場セグメントに限定し、そこに到達するためにチャネル、プロモーションは特殊になる。製品、価格は、高めを狙い、高収益を目指す。定石は、集中による特定市場でのミニリーダ戦略である。消費財では、高級服、高級車、高級オーディオなど、高品質、高価格市場へのニッチャー戦略がよく見られる。例えば、アイスクリームにおけるPBが増えたことで、NBが価格を下げざるを得なかったのに対して、ハーゲンダッツなどのプレミアムアイスクリームにとって、影響は少ない。
以上であるが、PLCなどの通時的な流れのなかで、また、競争地位などの共時的な構造のなかで、いかに競争優位を確立するかというグランドデザインをもてるかどうかにかかっている。
プロセスとしての競争
企業間の競争を分析するには、「プロセスとしての競争」という考え方が必要となる。プロセスとしての競争は、構造としての競争と補完的な関係にある競争の作動である。かつて、オーストリア学派が強調したように、競争には、新たな知識や情報を生み出すという働きがある。プロセスとしての競争は、この知識創造のプロセスとしての競争をとらえたものである。
プロセスとしての競争は、事業の定義を研ぎ澄ますプロセスとなる。企業は、他社との競争を通じて、独自の経営資源や能力を新たに発見していく。そして、この発見を取り込んでいくことで、事業の定義は更に磨きあげられたり、組み替えられたりする。
プロセスとしての競争は、産業の枠組みをダイナミックに組み替えていくプロセスとなる。このとき、企業は、臨機応変なマーケティングマネジメントの切り替えと、マーケティングマネジメントに通じた産業の枠組みの再構築という、2つの次元にまたがる問題に対応していかなければならない。
プロセスとしての競争は、事業の強みと弱みが反転するプロセスとなる。これまで、企業が自社の優位性を確保するために築き上げてきた経営資源が、新しい状況への適応を妨げる要因となってしまうことがある。このような企業の戦略的行動が引き起こすジレンマを「戦略的ジレンマ」と呼ぶ。
(Ex)ビール産業
キリンビールのラガービールが当初60%を超える市場シェアを取っていた。しかし、ラガービールの成功は、キリンの競争優位の源泉であったと同時に、移動障壁の源泉でもあった。2位以下の企業は、ラガー以外の製法で、ジレンマを突こうとした。1980年代の後半に、アサヒスーパードライを発売され、その結果、ラガービールは細分化されたカテゴリーの1つに成り下がり、アサヒがトップになった。10年後には、今度は、アサヒが同様の戦略的ジレンマに陥ることになる。サントリーが開発し、キリンが参入した発泡酒市場がビール市場のシェアを食い始めた。本格的なビールを訴えていたアサヒは参入が遅れた。かつて、キリンが直面したのと同じジレンマにアサヒが直面することになったのである。
プロセスとしての競争は、事業の定義を研ぎ澄ますプロセスとなる。企業は、他社との競争を通じて、独自の経営資源や能力を新たに発見していく。そして、この発見を取り込んでいくことで、事業の定義は更に磨きあげられたり、組み替えられたりする。
プロセスとしての競争は、産業の枠組みをダイナミックに組み替えていくプロセスとなる。このとき、企業は、臨機応変なマーケティングマネジメントの切り替えと、マーケティングマネジメントに通じた産業の枠組みの再構築という、2つの次元にまたがる問題に対応していかなければならない。
プロセスとしての競争は、事業の強みと弱みが反転するプロセスとなる。これまで、企業が自社の優位性を確保するために築き上げてきた経営資源が、新しい状況への適応を妨げる要因となってしまうことがある。このような企業の戦略的行動が引き起こすジレンマを「戦略的ジレンマ」と呼ぶ。
(Ex)ビール産業
キリンビールのラガービールが当初60%を超える市場シェアを取っていた。しかし、ラガービールの成功は、キリンの競争優位の源泉であったと同時に、移動障壁の源泉でもあった。2位以下の企業は、ラガー以外の製法で、ジレンマを突こうとした。1980年代の後半に、アサヒスーパードライを発売され、その結果、ラガービールは細分化されたカテゴリーの1つに成り下がり、アサヒがトップになった。10年後には、今度は、アサヒが同様の戦略的ジレンマに陥ることになる。サントリーが開発し、キリンが参入した発泡酒市場がビール市場のシェアを食い始めた。本格的なビールを訴えていたアサヒは参入が遅れた。かつて、キリンが直面したのと同じジレンマにアサヒが直面することになったのである。
2009年8月10日月曜日
競争構造の枠組み
競争の場の枠組み
産業の枠組みは、以下のような複数の視点が重ね合わせることによって与えられる。
①需要の同一性
産業とは、同一の需要をめぐる企業間の競争の場である。もっとも、この需要の交差弾力性の高さに依拠した定義だけでは、産業という場が無限に広がってしまうため、以下の視点を重ね合わせることで少し狭く定義しなければならなくなる。
②技術の共通性 (=産業)
まず考えられるのは、製品サービスを製造したり、運営したりするのに必要な、技術の共通性によって産業を捉えるというアプローチである。
③事業構造の類似性 (=戦略グループ)
企業が誰を直接のライバルと考えるかという問題である。企業が直接のライバルとして認識するのは、同じ産業のなかでも、特によく似たマーケティングの手法や活動を展開している企業だろう。
以上のように、需要の交差弾力性の高さに加えて、技術の共通性、事業構造の類似性に注目することで、企業間の競争の場となる中範囲の領域を切り出すことができる。また、技術の共通性に基づいたユニットを産業、事業構造の類似性に基づいたユニットを戦略グループと呼ぶ。
競争が規定する産業の収益性
マーケティングにかかわる戦略立案を行ううえで、産業という枠組みが重要なのは、産業によって各企業の投資収益率が大きく異なるからである。
事業の収益性は、①自社の属する産業の魅力度と、②その産業の中での自社の事業の競争的地位という2つの基本要因によって規定される。
産業という枠組みの中での企業の競争行動は、以下のような3つの基本要因の影響を受ける。
①競争者の数と規模の分布
産業に属している企業の数が少なければ、価格水準をコントロールすることが容易になる。さらに、企業の数だけでなく、産業内で企業の規模がどのように分布しているのかによっても競争状態は異なってくる。企業の数が多くても上位企業にシェアが集中している場合、競争は比較的緩やかなものになる。
②新規参入の容易さ
産業の競争状態は、新規参入が容易であるかどうかによっても異なってくる。参入障壁とは、新たな参入を妨げる要因である。
(A)初期投資の大きさ
規模の経済性は、参入障壁を高める有力な要因である。
(B)特許や独自の技術
(C)流通チャネルの閉鎖性
販売店の系列化により、流通チャネルに対する支配力を高めることは参入障壁になる。
(D)政府の規制
③差別化の程度
産業の競争状態は、産業内で製品サービスが差別化されているか、どうかによって異なってくる。
戦略グループ
産業内の競争ユニット
マーケティング手法や活動の類似性に基づいた企業の分類を行う際には、事業構造に注目することが多い。事業構造が異なると有効なマーケティングのあり方が変わってくるからである。この事業構造の類似性にもとづいた企業グループを戦略グループという。
戦略グループを分析する上で、「垂直統合の程度」と「製品ラインの広がり」という2つの軸が重要である。前者は、産業の垂直的な連関の中での事業の範囲を捉えたものである。産業の垂直的な連関の中で、どこまでを企業が自社内に統合化しているかを表す。後者は、企業が取り扱う製品サービスのカテゴリ-の広がりを捉えたものである。
(EX)白物家電の中には様々な種類があるが、家電メーカ-でも、製品カテゴリーの全てにわたって製品を供給している企業もあれば、そうでもない企業もある。
深い垂直統合と広い製品ラインを特徴とするのが、PANASONIC、東芝、日立である。これらのグループのマーケティングの特徴としては、①製品ラインを広くして、他社製品の進入を防ぐこと、②革新的な新製品よりも、2番手追従型の製品を先行企業に遅れず投入することを至上命題とする。③他社を圧倒する広告、プロモーションを投入する。化粧品産業では、資生堂、カネボウ、コーセー、花王などの大手制度品メーカーである。
深い垂直統合と狭い製品ラインを特徴とするのが、ソニー、シャープ、パイオニアなどの専門家電メーカーである。これらは、系列店が無かったため、革新的な新製品の開発やブランドイメージを強みとしてきた。化粧品産業では、百貨店などを中心にクリニークや、LVMHなどがある。
浅い垂直統合と広い製品ラインを特徴とする戦略グループとしては、イオンやダイエー、良品計画などのPBを開発する流通企業である。技術革新の余地が小さくなった冷蔵庫などを対象に、基本性能に絞った製品を企画している。化粧品では、マンダム、ユニリーバである。
浅い垂直統合と狭い製品ラインを特徴としているのは、PBなどを請け負う中国、韓国、新興の国内メーカ-などである。化粧品では、コンビニ、スーパー、ドラッグストアなどで限定的に販売されているPBブランドメーカーである。
以上のように、戦略グループの識別が重要なのは、同じ産業内でも、グループが異なれば、垂直統合の深さや製品ラインの広がりが異なる為、企業が別の戦略グループへ移動することが困難になる、移動障壁が形成されるからである。
戦略グループの強みと弱み
垂直統合がもたらす強み弱み、製品ライン拡大がもたらす強み弱みは以下の通り。
垂直統合の強み
①様々な活動を同期化することでコストを削減できる。
②取引条件を統制する機会が生まれる。
③川上、川下の技術を習得できる。
弱み
①莫大な資金が必要となる。
②企業活動の弾力性が低下する。
③操業水準が最適生産規模に達しなければコストは削減できない。
製品ライン拡大の強み
①幅広い顧客層への対応が可能になる。
②共通化、一括化による規模の経済性を享受できる。
③流通業者やディーラーとの取引が有利になる。
弱み
①戦力の分散化という弊害に直面する。開発やプロモーションの人材や資本を分散して投入せざるを得ない。
産業の枠組みは、以下のような複数の視点が重ね合わせることによって与えられる。
①需要の同一性
産業とは、同一の需要をめぐる企業間の競争の場である。もっとも、この需要の交差弾力性の高さに依拠した定義だけでは、産業という場が無限に広がってしまうため、以下の視点を重ね合わせることで少し狭く定義しなければならなくなる。
②技術の共通性 (=産業)
まず考えられるのは、製品サービスを製造したり、運営したりするのに必要な、技術の共通性によって産業を捉えるというアプローチである。
③事業構造の類似性 (=戦略グループ)
企業が誰を直接のライバルと考えるかという問題である。企業が直接のライバルとして認識するのは、同じ産業のなかでも、特によく似たマーケティングの手法や活動を展開している企業だろう。
以上のように、需要の交差弾力性の高さに加えて、技術の共通性、事業構造の類似性に注目することで、企業間の競争の場となる中範囲の領域を切り出すことができる。また、技術の共通性に基づいたユニットを産業、事業構造の類似性に基づいたユニットを戦略グループと呼ぶ。
競争が規定する産業の収益性
マーケティングにかかわる戦略立案を行ううえで、産業という枠組みが重要なのは、産業によって各企業の投資収益率が大きく異なるからである。
事業の収益性は、①自社の属する産業の魅力度と、②その産業の中での自社の事業の競争的地位という2つの基本要因によって規定される。
産業という枠組みの中での企業の競争行動は、以下のような3つの基本要因の影響を受ける。
①競争者の数と規模の分布
産業に属している企業の数が少なければ、価格水準をコントロールすることが容易になる。さらに、企業の数だけでなく、産業内で企業の規模がどのように分布しているのかによっても競争状態は異なってくる。企業の数が多くても上位企業にシェアが集中している場合、競争は比較的緩やかなものになる。
②新規参入の容易さ
産業の競争状態は、新規参入が容易であるかどうかによっても異なってくる。参入障壁とは、新たな参入を妨げる要因である。
(A)初期投資の大きさ
規模の経済性は、参入障壁を高める有力な要因である。
(B)特許や独自の技術
(C)流通チャネルの閉鎖性
販売店の系列化により、流通チャネルに対する支配力を高めることは参入障壁になる。
(D)政府の規制
③差別化の程度
産業の競争状態は、産業内で製品サービスが差別化されているか、どうかによって異なってくる。
戦略グループ
産業内の競争ユニット
マーケティング手法や活動の類似性に基づいた企業の分類を行う際には、事業構造に注目することが多い。事業構造が異なると有効なマーケティングのあり方が変わってくるからである。この事業構造の類似性にもとづいた企業グループを戦略グループという。
戦略グループを分析する上で、「垂直統合の程度」と「製品ラインの広がり」という2つの軸が重要である。前者は、産業の垂直的な連関の中での事業の範囲を捉えたものである。産業の垂直的な連関の中で、どこまでを企業が自社内に統合化しているかを表す。後者は、企業が取り扱う製品サービスのカテゴリ-の広がりを捉えたものである。
(EX)白物家電の中には様々な種類があるが、家電メーカ-でも、製品カテゴリーの全てにわたって製品を供給している企業もあれば、そうでもない企業もある。
深い垂直統合と広い製品ラインを特徴とするのが、PANASONIC、東芝、日立である。これらのグループのマーケティングの特徴としては、①製品ラインを広くして、他社製品の進入を防ぐこと、②革新的な新製品よりも、2番手追従型の製品を先行企業に遅れず投入することを至上命題とする。③他社を圧倒する広告、プロモーションを投入する。化粧品産業では、資生堂、カネボウ、コーセー、花王などの大手制度品メーカーである。
深い垂直統合と狭い製品ラインを特徴とするのが、ソニー、シャープ、パイオニアなどの専門家電メーカーである。これらは、系列店が無かったため、革新的な新製品の開発やブランドイメージを強みとしてきた。化粧品産業では、百貨店などを中心にクリニークや、LVMHなどがある。
浅い垂直統合と広い製品ラインを特徴とする戦略グループとしては、イオンやダイエー、良品計画などのPBを開発する流通企業である。技術革新の余地が小さくなった冷蔵庫などを対象に、基本性能に絞った製品を企画している。化粧品では、マンダム、ユニリーバである。
浅い垂直統合と狭い製品ラインを特徴としているのは、PBなどを請け負う中国、韓国、新興の国内メーカ-などである。化粧品では、コンビニ、スーパー、ドラッグストアなどで限定的に販売されているPBブランドメーカーである。
以上のように、戦略グループの識別が重要なのは、同じ産業内でも、グループが異なれば、垂直統合の深さや製品ラインの広がりが異なる為、企業が別の戦略グループへ移動することが困難になる、移動障壁が形成されるからである。
戦略グループの強みと弱み
垂直統合がもたらす強み弱み、製品ライン拡大がもたらす強み弱みは以下の通り。
垂直統合の強み
①様々な活動を同期化することでコストを削減できる。
②取引条件を統制する機会が生まれる。
③川上、川下の技術を習得できる。
弱み
①莫大な資金が必要となる。
②企業活動の弾力性が低下する。
③操業水準が最適生産規模に達しなければコストは削減できない。
製品ライン拡大の強み
①幅広い顧客層への対応が可能になる。
②共通化、一括化による規模の経済性を享受できる。
③流通業者やディーラーとの取引が有利になる。
弱み
①戦力の分散化という弊害に直面する。開発やプロモーションの人材や資本を分散して投入せざるを得ない。
2009年8月8日土曜日
消費者行動理論
消費対応の考え方
①マーケティングコンセプト
マーケティングコンセプトは、企業と消費者の関係を考えたり、分析したりする際の代表的な思考の枠組みである。それは、「消費者を理解し、消費者に喜ばれる製品サービスを作ることを第一とする」という発想を企業経営や事業運営の基本的な指針とするという考えである。つまり、企業や事業のあり方を「企業組織の外から内へ」という目線でとらえようとするものである。
②販売コンセプト
販売コンセプトでは、消費者ではなく、企業の内部活動を発想の起点とする。その典型的な問いは、「企業が作り出した製品サービス、あるいは企業が有している技術や能力をいかに売るか」というものである。つまり、「企業組織の内から外へ」という目線で捉えることができる。
①消費者→→→→→→→→→→→→企業
②消費者←←←←←←←←←←←←企業
重要なのは、マーケティングコンセプトと販売コンセプトの優劣に決着をつけることではなく、両者の間を行き来することである。
インプット-アウトプット分析とメカニズム分析
マーケティング担当者は、「どのような消費者が、何を必要としているのか」「さらに多くの消費者により多くを購買してもらうには、いつ、どこで、何を行えばよいか」
①インプット-アウトプット分析(S-Rモデル)
インプット-アウトプット分析は、「刺激-反応モデル」と呼ばれることもある。それは、「どのように刺激したら(インプット)、どのような購買行動を引き出せるか(アウトプット)」という図式で消費者の購買を理解しようとするものである。
(EX)ある缶コーヒーのブランドの広告料を増やすというインプットに対して、消費者の購買数量というアウトプットがどのよういに変化するのかという分析は、典型的なインプット-アウトプット分析である。
②メカニズム分析(S-O-Rモデル)
インプット-アウトプット分析では、ブラックボックスとなる、消費者の反応を導くプロセスを解明しようとするのがメカニズム分析である。マーケティング活動によって与えられた刺激が消費者の反応を引き起こすには、消費者の認知や意思決定のプロセスを経なければならない。この刺激と反応との間を取り持つプロセスの作動を解明するのがメカニズム分析である。
メカニズム分析は、S-O-Rモデルが代表的である。
S-O-Rモデル研究
Sは刺激(stimulus)、Oは生活体(organizm)、Rは反応(response)を表している。最も代表的な研究であるハワードシェスモデルでは、消費者は、実際の製品(実際的刺激)、広告(象徴的刺激)、口コミ(社会的刺激)、などの刺激を知覚し、時には、自ら進んでこれら刺激を探索(外的探索)しながら、製品に対する態度を形成する。好意的な態度が形成されたなら、それは購入意図をつくり、結果として購買行動を起こすことになる。そして、購買した製品の満足、不満足の結果はフィードバックされ、ブランドに関する知識(ブランド理解)が強化、修正される。このような刺激に対する消費者の反応段階を包括的モデルの中に示したS-O-Rモデル研究は、企業にとっては、自社の製品の浸透度合いを把握することを、また、消費者を購買行動へ向わせるための戦略ポイントを理解することを可能にさせるものであり、今日なお非常に実用的な分析法である。
購買意思決定の分析
購買の意思決定のプロセスは、消費者の心の中では、次の2つの局面の組み合わせとして展開することとなる。
①最適な製品、サービスを知覚し評価する。
プレゼントなどを購買する場合、消費者は、購買可能な製品サービスの中から最良なものを選ぼうとする。購買意思決定とは、様々な選択代案を知覚して、それぞれを評価することである。
②購買の必要や欲求を確立する。
だが、そもそも消費者がプレゼントを手に入れたいと思わなければ知覚や評価は始まらない。購買意思決定は、特定の製品サービスに対する必要や欲求を確立することから始まる。後で触れる、このメカニズムは、「手段-目的の連鎖」と呼ばれる枠組みによってとらえることができる。
購買意思決定には以上のような2つの局面がある。例えば、ビール広告で、スポーツで汗を流した後に、ビールを飲む爽快感を訴求することは、②への対応となり、他社のビールとの比較で、自社のビールにおける優位性を訴求することは①への対応となる。
①消費者情報処理
上述のように、消費者の購買意思決定は2つの局面から成り立っており、以下では、それぞれの局面について検討する。
消費者情報処理のプロセスは、知覚と評価という2つのサブプロセスから成り立っている。消費者情報処理にあたっては、
まず、①代替案となる製品サービスに関する情報が収集される(知覚のサブプロセス)。このプロセスでは、目や耳のような感覚器を通じて外部情報を選択しながら取得するとともに、過去の体験、記憶との統合がはかられる。
続いて、②最良と判断される代替案が選ばれる(評価のサブプロセス)。このプロセスでは、知覚された様々な属性の情報を比較して、代替案を評価、選択する。
缶コーヒーA、缶コーヒーB、缶コーヒーC→知覚(情報の選択的取得、統合)→評価(代替案の比較、選択)→購買行動
ボトムアップとトップダウン
知覚あるいは評価のサブプロセスで行われる情報の取得や統合は、実行可能な簡便な手続きによってなされる。その手続きは、以下の2つの組み合わせで行われる。
①ボトムアップ型の処理
対象の属性を網羅的に集め、積み上げ型で知覚と評価を行うというやり方である。例えば、缶コーヒーであれば、パッケージの色、ロゴ、ブランドといった属性を集めて、それらを比較しながら、全体としての知覚や評価に結び付けていくという方法である。
②トップダウン型の処理
実際、ボトムアップ型の処理だけで知覚評価を進めることは難しい。あらゆる属性にかかわっていると処理に時間がかかり過ぎるからである。トップダウン型とは、知覚対象や評価方法をあらかじめ特定化してしまうやり方である。例えば、缶のサイズやブランド名だけを見るといったように特定の対象に絞るのである。
以上のように、限られた時間の中で、様々な商品を選択的に知覚し、評価しようとする際に有効なのは、ボトムアップ型の処理とトップダウン型の処理を組み合わせた対応である。すなわち、トップダウン型の処理によって知覚対象や評価方法を限定しながら、一定の範囲でボトムアップ型の処理を行うという対応である。この2つの処理の比重が変わることで消費者情報処理に多様なバリエーションが生じることになる。
ヒューリスティック
ボトムアップ型とトップダウン型の処理を組み合わせる時に、鍵となるのが、ヒューリスティックである。ヒューリスティックとは、知覚や評価の進め方のルールである。
このように消費者情報処理では、「製品サービスの選択」と「ヒューリスティックの選択」という2重の選択が行われる。消費者情報処理とは、ヒューリスティックに従って製品サービスを選択することであると同時に、おかれた状況に応じて、様々なヒューリスティックの中から、どれかひとつを選択することでもあるのである。
また、この2重の選択がどのように行われるかは、消費者がどのような必要や欲求を確立しているかによって異なる。「購買の必要や欲求」の確立は、消費者による購買意志決定の第2の局面であり、消費者情報処理の2重の選択の背後にあって以下の影響を及ぼしている。
①製品サービスの選択への影響
購買の必要や欲求は、その製品サービスに対する消費者情報処理を行うように動機付ける。
②ヒューリスティックの選択への影響
購買の必要や欲求が確立することで、消費者情報処理の進め方が決まる。すなわち、購買の必要や欲求の確立は、消費者がどのようなヒューリスティックを選択するのかにも影響を及ぼす。
関与と知識
一般的に、当該製品に関与(思い入れ、こだわり)の高い消費者は想起集合や拒否集合内のブランド数が多く、関与の低い消費者は共に少ないと考えられる。このように、消費者は多様な情報処理活動を行うわけだが、関与と知識は、これらの活動を規定する。消費者情報処理研究(情報取得、情報統合、情報保持)への動機付けを規定するものとして、関与を、情報処理の能力を規定するものとして知識をあげている。例えば、家電業界の多機能化競争が使わないボタンの多くついたビデオデッキなどを生み出した状況は、関与概念で考えることができる。つまり、家電に関して高関与な消費者にとっては、多機能製品の方が面白く、低関与な消費者にとっては、情報処理の負荷が大きく感じて顧客満足度が低くなる。
ライフスタイル研究
情報処理研究が、消費者をコンピューターのアナロジーとして捉える面が若干あるのに対し、消費者をより全体的な視点から捉えようとするのがライフスタイル研究である。
ライフスタイル研究の代表的な研究としては、VALSプロジェクトがある。
VALSプロジェクト
大規模な消費者調査をすることで、その結果を分析し、①その日暮らし②忍耐派③帰属派④野心派⑤達成者⑥個人主義⑦体験派⑧社会理念派⑨トータルバランス派という9つのライフスタイルを析出している。VALSプロジェクトの特徴は、マズローの欲求5段階説とリースマンの同調様式の類型をもとに構造化した点である。9つの類型は、①その日暮らしから⑨トータルバランス派に至る垂直的な階層構造をなしているが、この点は、生理欲求→安全の欲求→所属と愛の欲求→承認の欲求→自己実現の欲求のマズローの5段階説に基づいている。また、階層構造の途中(帰属派から)、他人志向と内部志向という二重の道筋があるが、これは、行動の基準を他人に置くか、自己に置くかというリースマンの内部志向と外部志向の考え方を取り入れたものである。このようにVALSは、生活者の日々の消費者行動を背景から支える価値観やライフスタイルの大きな流れを把握する上で非常に重要な研究である。
②手段-目的の連鎖(必要や欲求の構成をとらえる)
消費者の購買行動を導いている必要や欲求の基本的な構成は、「手段-目的の連鎖」と呼ばれる構造のもとでとらえることができる。手段-目的の連鎖とは、消費者の必要や欲求を手段と目的の連鎖的な構成物として捉えたものである。
(EX)オフィスの自動販売機コーナーで缶コーヒーを購買しようとしている場面を考えると。缶コーヒーを飲むということは、目的である。しかし同時に、缶コーヒーを飲むことは、会議の合間に気分転換をするといった、さらにその上位の目的の手段でもある。更に上位には、会議での集中力を保つといった目的が考えられ、会議の合間に気分転換することは、そのための手段となる。
しかし、手段-目的の連鎖を分析しても、買い手が製品サービスに対して抱いている必要や欲求について根源的な理由を突き止められないという点には注意が必要である。以下の2つの問題があるからである。
①手段-目的の連鎖はどこまでもさかのぼることができる。
②手段-目的の連鎖をさかのぼることで必要や欲求が相対化されてしまう。
このように、手段-目的の連鎖を用いた分析は、見逃されがちな、購買の必要や欲求の「遇有性(ほかでもありうる可能性)」の問題へと開かれる。
相対化の遮断
手段-目的の連鎖をさかのぼっていくと、そこに現れるのは、製品サービスに対する消費者の必要や欲求の根源的な理由ではなく、その遇有性である。見えてくるのは、消費者の必要や欲求が揺らぐことない確かな基盤に根ざしているわけではなく、逆に必要や欲求には、ほかでもあり得る可能性(つまり遇有性)が常に潜んでいるということである。次に考えなければならないことは、遇有性の中で、いかにして特定の製品サービスに対する欲求を確立するのかという問題である。以下の2点が指摘できる。
①消費者の情報処理能力には限界がある。
一定時間の中で消費者が処理できる情報は有限である。また、消費者がおかれた個々の状況の中で、アクセス可能な製品サービス、それらにかかわる情報が有限である。
②手段-目的の連鎖が、循環する関係のなかで生成する。
消費者が知覚評価を行うプロセスの中で、手段と目的との間に次のような循環的な関係が生成することがある。
(A)タロウは、疲れを感じたので缶コーヒーを飲みたくなった。
(B)タロウは缶コーヒーが飲みたくなったので、疲れていることに気づいた。
このような循環が消費者の心の中で永遠に続いていくわけではないが、少なくともこうした関係がぐるぐる回っている間は、疲れているなという自覚と缶コーヒーを飲みたいという欲求に執着し続けることになる。
以上のようなメカニズムで、消費者意思決定において、なぜ特定の必要や欲求が絶対化するのかを理解することができる。
ポストモダン消費者行動分析
消費者情報処理に代表される従来のモダンの消費者行動分析があまりに認知的、分析的であったという反省に立って、より情緒的、経験的な視点から消費者行動を理解しいこうとするものである。ハーマンとホルブルックは、快楽的消費で方向性を示している。それは、消費それ自体が目的であり、消費すること自体が快楽であるような音楽、絵画、ファッションなどに特徴的な消費である。議論のポイントは、①分析対象の商品カテゴリー②消費者行動の局面の2点に沿って考えられる。①では、ファッション性の高い商品の行動分析を考える時に、従来の分析では不十分であり、主観的経験や感情に基づく新たな枠組みが必要である。②では、従来は、購買の局面に焦点を合わせたものが多かったが、消費者行動を真に理解するためには、購買後の使用行動や廃棄行動まで理解する必要がある。他にも、代表的なものとして、シュミットがいる。彼は、消費者の経験領域を、SENSE(五感)、FEEL(喜怒哀楽)、THINK(考える)、ACT(行動する)、RELATE(他人と交流する)の5つに分け、情緒的で経験的な消費者行動を分析する枠組みを示している。
市場の細分化-多様性への対応
次は、消費者購買を導く意思決定のメカニズムから、どのようなマーケティングマネジメントの指針が導き出されるのかを検討する。
まず、消費者の多様性に目を向ける必要がある。消費者とその購買行動は一様ではない。何を必要としているのか、どのような欲求を抱いているのか、どのようなヒューリスティックを用いているのかが異なると、消費者の購買行動は大きく異なる。
市場細分化マーケティング
マーケティングにあたっては、「消費者が真に求めているものに応える」といった、あらゆる状況に適用できそうなお題目を唱えているだけでは意味がない。むしろ、有用なのは、以下のような、「市場細分化マーケティング」の手順のっとって、消費者のどの必要や欲求に応えるべきか、知覚や評価におけるどのようなヒューリスティックに応えるべきかを特定化するという対応である。
市場細分化とは、製品サービスの用途が同じでも、消費者によって異なる必要や欲求、知覚や評価の方法、あるいは、生活行動などで市場を分割することである。このセグメントごとに異なるマーケティングの手法を市場細分化マーケティングという。
細分化された市場に対する企業の対応には、集中化、専門化、フルカバレッジという3つの選択肢がある。集中化は、特定の市場細分にのみ特化するという対応である。専門化は、自社の強みを発揮できる複数の市場細分を選択するという対応である。フルカバレッジは、すべての市場細分にアプローチするという対応である。
市場細分化の軸
軸の設定は、ダイナミックなプロセスとなる。なぜなら、消費者をタイプ分けするための切り口は固定的なものではないからである。例えば、缶コーヒーは、朝専用モーニングショットは、これまでにない、飲む時間帯という切り口で市場細分化をすることで大ヒットした。
○人口統計的変数 ○社会経済的変数 ○地理的変数 ○心理的変数 ○生活行動上の変数 ○製品サービスの属性変数 (消費財市場)
○産業統計的変数 ○使用状況にかかわる変数 ○組織購買行動上の変数 ○製品サービスの属性変数 (産業財市場)
市場細分化のメリット、デメリット
①メリット
市場細分化によって、マーケティングの手法や活動の効果と効率を高めることができる。また、市場細分化マーケティングを行うことで、市場全体の規模が拡大することがある。
②デメリット
企業のコスト負担を増加させる。製品サービスの種類が増えれば生産工程や在庫の管理が複雑化する。特にフルカバレッジ対応を目指す場合はより深刻になる。
市場細分化で満たすべき3つの条件
①独自性
それぞれの市場細分は、マーケティングの手法や活動に独自の反応を示すものでなければならない。異なる市場細分の間では、必要となる製品の仕様や価格に対する感受性、あるいは、利用頻度の高いメディアなどが異なってくる。
②十分な規模
市場細分は、十分な売り上げと利益が確保できる規模でなければならない。
③確実性
市場細分は、マーケティングミックスの計画、実行、評価を確実に行うことが可能なものでなければならない。セグメントの規模が推定でき、特性からマーケティングミックスのあり方が示唆されることと、過大なコストをかけずに、セグメントに特化した企業活動が展開できなければならない。
消費者をいかにリードするか
マーケティングマネジメントにあたっては、消費者行動の多様性だけでなく、消費者行動が意図せざる行為であることにも目を向けるべきである。そのため、MMは、消費者行動に適応すると同時にリードするという二面的な性格を帯びることになる。
消費者調査を繰り返すことで、企業は新製品、サービスの開発に有用な情報をその節目ごとに手に入れることができるが、消費者調査の結果どおりに進めない方が良い場合もある。こうした問題は、消費者が必ずしも自らの欲求を把握していないからである。需要なのは、消費者調査から現れら消費者の想いの背後に隠されている可能性や予兆を見抜くことである。
消費者行動に対応したマーケティングとは、消費者調査に全面的に従うことではなく、消費者の意向や要望の一歩先を行く提案を行いリードしなければならない。しかし、企業は次のような問題に直面する。消費者行動に対応するには、消費者をリードすることが必要だが、強調し過ぎると、消費者を置き去りにした「マーケティングの独善化」が起こる。独善にならないように様々手立てを講じなければならない。
①マーケティングコンセプト
マーケティングコンセプトは、企業と消費者の関係を考えたり、分析したりする際の代表的な思考の枠組みである。それは、「消費者を理解し、消費者に喜ばれる製品サービスを作ることを第一とする」という発想を企業経営や事業運営の基本的な指針とするという考えである。つまり、企業や事業のあり方を「企業組織の外から内へ」という目線でとらえようとするものである。
②販売コンセプト
販売コンセプトでは、消費者ではなく、企業の内部活動を発想の起点とする。その典型的な問いは、「企業が作り出した製品サービス、あるいは企業が有している技術や能力をいかに売るか」というものである。つまり、「企業組織の内から外へ」という目線で捉えることができる。
①消費者→→→→→→→→→→→→企業
②消費者←←←←←←←←←←←←企業
重要なのは、マーケティングコンセプトと販売コンセプトの優劣に決着をつけることではなく、両者の間を行き来することである。
インプット-アウトプット分析とメカニズム分析
マーケティング担当者は、「どのような消費者が、何を必要としているのか」「さらに多くの消費者により多くを購買してもらうには、いつ、どこで、何を行えばよいか」
①インプット-アウトプット分析(S-Rモデル)
インプット-アウトプット分析は、「刺激-反応モデル」と呼ばれることもある。それは、「どのように刺激したら(インプット)、どのような購買行動を引き出せるか(アウトプット)」という図式で消費者の購買を理解しようとするものである。
(EX)ある缶コーヒーのブランドの広告料を増やすというインプットに対して、消費者の購買数量というアウトプットがどのよういに変化するのかという分析は、典型的なインプット-アウトプット分析である。
②メカニズム分析(S-O-Rモデル)
インプット-アウトプット分析では、ブラックボックスとなる、消費者の反応を導くプロセスを解明しようとするのがメカニズム分析である。マーケティング活動によって与えられた刺激が消費者の反応を引き起こすには、消費者の認知や意思決定のプロセスを経なければならない。この刺激と反応との間を取り持つプロセスの作動を解明するのがメカニズム分析である。
メカニズム分析は、S-O-Rモデルが代表的である。
S-O-Rモデル研究
Sは刺激(stimulus)、Oは生活体(organizm)、Rは反応(response)を表している。最も代表的な研究であるハワードシェスモデルでは、消費者は、実際の製品(実際的刺激)、広告(象徴的刺激)、口コミ(社会的刺激)、などの刺激を知覚し、時には、自ら進んでこれら刺激を探索(外的探索)しながら、製品に対する態度を形成する。好意的な態度が形成されたなら、それは購入意図をつくり、結果として購買行動を起こすことになる。そして、購買した製品の満足、不満足の結果はフィードバックされ、ブランドに関する知識(ブランド理解)が強化、修正される。このような刺激に対する消費者の反応段階を包括的モデルの中に示したS-O-Rモデル研究は、企業にとっては、自社の製品の浸透度合いを把握することを、また、消費者を購買行動へ向わせるための戦略ポイントを理解することを可能にさせるものであり、今日なお非常に実用的な分析法である。
購買意思決定の分析
購買の意思決定のプロセスは、消費者の心の中では、次の2つの局面の組み合わせとして展開することとなる。
①最適な製品、サービスを知覚し評価する。
プレゼントなどを購買する場合、消費者は、購買可能な製品サービスの中から最良なものを選ぼうとする。購買意思決定とは、様々な選択代案を知覚して、それぞれを評価することである。
②購買の必要や欲求を確立する。
だが、そもそも消費者がプレゼントを手に入れたいと思わなければ知覚や評価は始まらない。購買意思決定は、特定の製品サービスに対する必要や欲求を確立することから始まる。後で触れる、このメカニズムは、「手段-目的の連鎖」と呼ばれる枠組みによってとらえることができる。
購買意思決定には以上のような2つの局面がある。例えば、ビール広告で、スポーツで汗を流した後に、ビールを飲む爽快感を訴求することは、②への対応となり、他社のビールとの比較で、自社のビールにおける優位性を訴求することは①への対応となる。
①消費者情報処理
上述のように、消費者の購買意思決定は2つの局面から成り立っており、以下では、それぞれの局面について検討する。
消費者情報処理のプロセスは、知覚と評価という2つのサブプロセスから成り立っている。消費者情報処理にあたっては、
まず、①代替案となる製品サービスに関する情報が収集される(知覚のサブプロセス)。このプロセスでは、目や耳のような感覚器を通じて外部情報を選択しながら取得するとともに、過去の体験、記憶との統合がはかられる。
続いて、②最良と判断される代替案が選ばれる(評価のサブプロセス)。このプロセスでは、知覚された様々な属性の情報を比較して、代替案を評価、選択する。
缶コーヒーA、缶コーヒーB、缶コーヒーC→知覚(情報の選択的取得、統合)→評価(代替案の比較、選択)→購買行動
ボトムアップとトップダウン
知覚あるいは評価のサブプロセスで行われる情報の取得や統合は、実行可能な簡便な手続きによってなされる。その手続きは、以下の2つの組み合わせで行われる。
①ボトムアップ型の処理
対象の属性を網羅的に集め、積み上げ型で知覚と評価を行うというやり方である。例えば、缶コーヒーであれば、パッケージの色、ロゴ、ブランドといった属性を集めて、それらを比較しながら、全体としての知覚や評価に結び付けていくという方法である。
②トップダウン型の処理
実際、ボトムアップ型の処理だけで知覚評価を進めることは難しい。あらゆる属性にかかわっていると処理に時間がかかり過ぎるからである。トップダウン型とは、知覚対象や評価方法をあらかじめ特定化してしまうやり方である。例えば、缶のサイズやブランド名だけを見るといったように特定の対象に絞るのである。
以上のように、限られた時間の中で、様々な商品を選択的に知覚し、評価しようとする際に有効なのは、ボトムアップ型の処理とトップダウン型の処理を組み合わせた対応である。すなわち、トップダウン型の処理によって知覚対象や評価方法を限定しながら、一定の範囲でボトムアップ型の処理を行うという対応である。この2つの処理の比重が変わることで消費者情報処理に多様なバリエーションが生じることになる。
ヒューリスティック
ボトムアップ型とトップダウン型の処理を組み合わせる時に、鍵となるのが、ヒューリスティックである。ヒューリスティックとは、知覚や評価の進め方のルールである。
このように消費者情報処理では、「製品サービスの選択」と「ヒューリスティックの選択」という2重の選択が行われる。消費者情報処理とは、ヒューリスティックに従って製品サービスを選択することであると同時に、おかれた状況に応じて、様々なヒューリスティックの中から、どれかひとつを選択することでもあるのである。
また、この2重の選択がどのように行われるかは、消費者がどのような必要や欲求を確立しているかによって異なる。「購買の必要や欲求」の確立は、消費者による購買意志決定の第2の局面であり、消費者情報処理の2重の選択の背後にあって以下の影響を及ぼしている。
①製品サービスの選択への影響
購買の必要や欲求は、その製品サービスに対する消費者情報処理を行うように動機付ける。
②ヒューリスティックの選択への影響
購買の必要や欲求が確立することで、消費者情報処理の進め方が決まる。すなわち、購買の必要や欲求の確立は、消費者がどのようなヒューリスティックを選択するのかにも影響を及ぼす。
関与と知識
一般的に、当該製品に関与(思い入れ、こだわり)の高い消費者は想起集合や拒否集合内のブランド数が多く、関与の低い消費者は共に少ないと考えられる。このように、消費者は多様な情報処理活動を行うわけだが、関与と知識は、これらの活動を規定する。消費者情報処理研究(情報取得、情報統合、情報保持)への動機付けを規定するものとして、関与を、情報処理の能力を規定するものとして知識をあげている。例えば、家電業界の多機能化競争が使わないボタンの多くついたビデオデッキなどを生み出した状況は、関与概念で考えることができる。つまり、家電に関して高関与な消費者にとっては、多機能製品の方が面白く、低関与な消費者にとっては、情報処理の負荷が大きく感じて顧客満足度が低くなる。
ライフスタイル研究
情報処理研究が、消費者をコンピューターのアナロジーとして捉える面が若干あるのに対し、消費者をより全体的な視点から捉えようとするのがライフスタイル研究である。
ライフスタイル研究の代表的な研究としては、VALSプロジェクトがある。
VALSプロジェクト
大規模な消費者調査をすることで、その結果を分析し、①その日暮らし②忍耐派③帰属派④野心派⑤達成者⑥個人主義⑦体験派⑧社会理念派⑨トータルバランス派という9つのライフスタイルを析出している。VALSプロジェクトの特徴は、マズローの欲求5段階説とリースマンの同調様式の類型をもとに構造化した点である。9つの類型は、①その日暮らしから⑨トータルバランス派に至る垂直的な階層構造をなしているが、この点は、生理欲求→安全の欲求→所属と愛の欲求→承認の欲求→自己実現の欲求のマズローの5段階説に基づいている。また、階層構造の途中(帰属派から)、他人志向と内部志向という二重の道筋があるが、これは、行動の基準を他人に置くか、自己に置くかというリースマンの内部志向と外部志向の考え方を取り入れたものである。このようにVALSは、生活者の日々の消費者行動を背景から支える価値観やライフスタイルの大きな流れを把握する上で非常に重要な研究である。
②手段-目的の連鎖(必要や欲求の構成をとらえる)
消費者の購買行動を導いている必要や欲求の基本的な構成は、「手段-目的の連鎖」と呼ばれる構造のもとでとらえることができる。手段-目的の連鎖とは、消費者の必要や欲求を手段と目的の連鎖的な構成物として捉えたものである。
(EX)オフィスの自動販売機コーナーで缶コーヒーを購買しようとしている場面を考えると。缶コーヒーを飲むということは、目的である。しかし同時に、缶コーヒーを飲むことは、会議の合間に気分転換をするといった、さらにその上位の目的の手段でもある。更に上位には、会議での集中力を保つといった目的が考えられ、会議の合間に気分転換することは、そのための手段となる。
しかし、手段-目的の連鎖を分析しても、買い手が製品サービスに対して抱いている必要や欲求について根源的な理由を突き止められないという点には注意が必要である。以下の2つの問題があるからである。
①手段-目的の連鎖はどこまでもさかのぼることができる。
②手段-目的の連鎖をさかのぼることで必要や欲求が相対化されてしまう。
このように、手段-目的の連鎖を用いた分析は、見逃されがちな、購買の必要や欲求の「遇有性(ほかでもありうる可能性)」の問題へと開かれる。
相対化の遮断
手段-目的の連鎖をさかのぼっていくと、そこに現れるのは、製品サービスに対する消費者の必要や欲求の根源的な理由ではなく、その遇有性である。見えてくるのは、消費者の必要や欲求が揺らぐことない確かな基盤に根ざしているわけではなく、逆に必要や欲求には、ほかでもあり得る可能性(つまり遇有性)が常に潜んでいるということである。次に考えなければならないことは、遇有性の中で、いかにして特定の製品サービスに対する欲求を確立するのかという問題である。以下の2点が指摘できる。
①消費者の情報処理能力には限界がある。
一定時間の中で消費者が処理できる情報は有限である。また、消費者がおかれた個々の状況の中で、アクセス可能な製品サービス、それらにかかわる情報が有限である。
②手段-目的の連鎖が、循環する関係のなかで生成する。
消費者が知覚評価を行うプロセスの中で、手段と目的との間に次のような循環的な関係が生成することがある。
(A)タロウは、疲れを感じたので缶コーヒーを飲みたくなった。
(B)タロウは缶コーヒーが飲みたくなったので、疲れていることに気づいた。
このような循環が消費者の心の中で永遠に続いていくわけではないが、少なくともこうした関係がぐるぐる回っている間は、疲れているなという自覚と缶コーヒーを飲みたいという欲求に執着し続けることになる。
以上のようなメカニズムで、消費者意思決定において、なぜ特定の必要や欲求が絶対化するのかを理解することができる。
ポストモダン消費者行動分析
消費者情報処理に代表される従来のモダンの消費者行動分析があまりに認知的、分析的であったという反省に立って、より情緒的、経験的な視点から消費者行動を理解しいこうとするものである。ハーマンとホルブルックは、快楽的消費で方向性を示している。それは、消費それ自体が目的であり、消費すること自体が快楽であるような音楽、絵画、ファッションなどに特徴的な消費である。議論のポイントは、①分析対象の商品カテゴリー②消費者行動の局面の2点に沿って考えられる。①では、ファッション性の高い商品の行動分析を考える時に、従来の分析では不十分であり、主観的経験や感情に基づく新たな枠組みが必要である。②では、従来は、購買の局面に焦点を合わせたものが多かったが、消費者行動を真に理解するためには、購買後の使用行動や廃棄行動まで理解する必要がある。他にも、代表的なものとして、シュミットがいる。彼は、消費者の経験領域を、SENSE(五感)、FEEL(喜怒哀楽)、THINK(考える)、ACT(行動する)、RELATE(他人と交流する)の5つに分け、情緒的で経験的な消費者行動を分析する枠組みを示している。
市場の細分化-多様性への対応
次は、消費者購買を導く意思決定のメカニズムから、どのようなマーケティングマネジメントの指針が導き出されるのかを検討する。
まず、消費者の多様性に目を向ける必要がある。消費者とその購買行動は一様ではない。何を必要としているのか、どのような欲求を抱いているのか、どのようなヒューリスティックを用いているのかが異なると、消費者の購買行動は大きく異なる。
市場細分化マーケティング
マーケティングにあたっては、「消費者が真に求めているものに応える」といった、あらゆる状況に適用できそうなお題目を唱えているだけでは意味がない。むしろ、有用なのは、以下のような、「市場細分化マーケティング」の手順のっとって、消費者のどの必要や欲求に応えるべきか、知覚や評価におけるどのようなヒューリスティックに応えるべきかを特定化するという対応である。
市場細分化とは、製品サービスの用途が同じでも、消費者によって異なる必要や欲求、知覚や評価の方法、あるいは、生活行動などで市場を分割することである。このセグメントごとに異なるマーケティングの手法を市場細分化マーケティングという。
細分化された市場に対する企業の対応には、集中化、専門化、フルカバレッジという3つの選択肢がある。集中化は、特定の市場細分にのみ特化するという対応である。専門化は、自社の強みを発揮できる複数の市場細分を選択するという対応である。フルカバレッジは、すべての市場細分にアプローチするという対応である。
市場細分化の軸
軸の設定は、ダイナミックなプロセスとなる。なぜなら、消費者をタイプ分けするための切り口は固定的なものではないからである。例えば、缶コーヒーは、朝専用モーニングショットは、これまでにない、飲む時間帯という切り口で市場細分化をすることで大ヒットした。
○人口統計的変数 ○社会経済的変数 ○地理的変数 ○心理的変数 ○生活行動上の変数 ○製品サービスの属性変数 (消費財市場)
○産業統計的変数 ○使用状況にかかわる変数 ○組織購買行動上の変数 ○製品サービスの属性変数 (産業財市場)
市場細分化のメリット、デメリット
①メリット
市場細分化によって、マーケティングの手法や活動の効果と効率を高めることができる。また、市場細分化マーケティングを行うことで、市場全体の規模が拡大することがある。
②デメリット
企業のコスト負担を増加させる。製品サービスの種類が増えれば生産工程や在庫の管理が複雑化する。特にフルカバレッジ対応を目指す場合はより深刻になる。
市場細分化で満たすべき3つの条件
①独自性
それぞれの市場細分は、マーケティングの手法や活動に独自の反応を示すものでなければならない。異なる市場細分の間では、必要となる製品の仕様や価格に対する感受性、あるいは、利用頻度の高いメディアなどが異なってくる。
②十分な規模
市場細分は、十分な売り上げと利益が確保できる規模でなければならない。
③確実性
市場細分は、マーケティングミックスの計画、実行、評価を確実に行うことが可能なものでなければならない。セグメントの規模が推定でき、特性からマーケティングミックスのあり方が示唆されることと、過大なコストをかけずに、セグメントに特化した企業活動が展開できなければならない。
消費者をいかにリードするか
マーケティングマネジメントにあたっては、消費者行動の多様性だけでなく、消費者行動が意図せざる行為であることにも目を向けるべきである。そのため、MMは、消費者行動に適応すると同時にリードするという二面的な性格を帯びることになる。
消費者調査を繰り返すことで、企業は新製品、サービスの開発に有用な情報をその節目ごとに手に入れることができるが、消費者調査の結果どおりに進めない方が良い場合もある。こうした問題は、消費者が必ずしも自らの欲求を把握していないからである。需要なのは、消費者調査から現れら消費者の想いの背後に隠されている可能性や予兆を見抜くことである。
消費者行動に対応したマーケティングとは、消費者調査に全面的に従うことではなく、消費者の意向や要望の一歩先を行く提案を行いリードしなければならない。しかし、企業は次のような問題に直面する。消費者行動に対応するには、消費者をリードすることが必要だが、強調し過ぎると、消費者を置き去りにした「マーケティングの独善化」が起こる。独善にならないように様々手立てを講じなければならない。
事業の定義(マーケティング近視眼)
事業の定義は、狭すぎても、広すぎてもいけない。事業の定義を狭く捉えていたために、事業の機会をみすみす逃してしまうという失敗が起こることを、「マーケティング近視眼」と言う。一方、事業の定義を広く捉え過ぎると、事業の拡大志向に歯止めがかからなくなることを「マーケティング遠視眼」という。
マーケティング近視眼
事業を狭く定義し過ぎること。HBSのセオドアレビット教授が名付け親であり、4分の1インチドリルが100万個売れた時に、消費者は、4分の1インチドリルを買いたかったのではなく、4分の1インチの穴が欲しかったのである。
(EX)アメリカの鉄道会社は、「鉄道事業」と定義していたため、飛行機や自動車が発達すると衰退した。もし、鉄道会社が、「輸送会社」と定義して、長距離バスやレンタカー事業を展開していれば市場は拡大していたと考えられる。
事業の定義のポイント
①顧客が本当に求めているものは何か。
(EX)アート引越しセンターは、顧客が本当に求めているものは何かを考え抜くことで、引越し業のイノベーションを起こした。アートは、これまでは、運送業であったが、引越ししようとしている消費者が欲しいのは、トラックでも運送サービスでもなく、「生活の移転」であると気づいた時、引越しビジネスが誕生した。これにより、荷物の運送だけでなく、下見、見積もり、掃除、片付けなどの付加的なサービスをするようになり、荷物を輸送することは、サービスの一部でしかない。
②そもそも何をすべきなのか。
事業の定義にあたっては、何をすべきなのかについてよく考えることが重要である。技術の変化や消費者の要求の変化、さらに競合する製品サービスの変化といった様々な変化によって「何をすべきか」が変化していくことに、企業は絶えず気をつけておかなければならない。
マーケティング遠近眼の罠
マーケティング近視眼を避けることをあまりにも強調し過ぎると、逆にマーケティング遠視眼に陥ることになりかねない点は注意が必要である。
(EX)1960年代のGEは、マーケティング近視眼を避けようとして社内の改革を行った。電線事業部→建設資材事業部、メーター事業部→計測機器事業部、制御機器事業部→オートメーション機器事業部に変更した。しかし、それと引き換えに、広い事業の定義に応えるためには、投資が必要になり、収益を得るまでには時間がかかる。各事業部が自分の事業を賄っていくのは難しくなり、全社的に資金面での余裕が乏しくなる。これが遠視眼の弊害である。それは、PPMの導入である程度解決できるが、事業の定義の重要性は低下するわけではない。同じ製品サービスにかかわる同一の業務に対する資源配分も事業の定義次第で異なってくるからである。
PPMとの関係
どのような事業と定義するかで、PPMから導き出される指針が異なってくる。まず、事業の対象を広くとるのか、狭くとるのかという問題がある。加えて、事業を通じて、「誰に(どのような顧客に)」「何を(どのような機能を)」「いかに(どのような技術で)」提供しようと考えることが重要である。
(EX)スカンジナビア航空(SAS)
SASの顧客満足プログラムは、エアラインサービスに新しい事業の設計図を持ち込むものだった。SASは、まず自社の顧客を「ビジネスマン」と定義し、その満足度の向上を最重要課題とした。そして、提供する機能として、ビジネスマンの満足度を高める鍵は、「時間」であると考え、「定時に出発して定時に目的地に到着する」ことや、「時間を節約する」ことを大事にしていると考えた。そして、ビジネスマンの飛行機への乗り降りを優先的にするために、直行便のスケジュールを増やしたり、機内に荷物は持ち込めるように通路を広げるなど機内設計を変更したりした。
つまり、
誰に→ビジネスマン
何を→時間を節約する。
どのように→機内に荷物を持ち込める。直行便を増やす。
また事業の定義を行うことと連動して、基軸となる経営資源の判別が行われる。この基軸となる経営資源をコアコンピタンスと呼ぶ。
自らの拠って立つ経営資源を明らかにする。
①成長の鍵は何か。
②自社の基軸となる資源は何か。
(EX)富士ゼロックス
富士ゼロは、米ゼロが開発した大型コピー機を大手ユーザーに販売していた。米ゼロは、これに加え、レンタル制度などのコピーサービスを販売しており、これは、顧客が求めているのは、機械ではなく、それが果たす機能だと考えた。対して、富士ゼロは、大型に加え、卓上型の小型コピー機を新たに開発しようとした。
つまり、富士ゼロAは、技術と機能をそのままに顧客の拡大を、米ゼロBは、顧客をそのままに、技術と機能の拡大をはかるという成長路線の違いを表している。
このように、新しい事業の定義の採択が企業の基軸となる経営資源(コアコンピタンス)の判別と連動しているということである。顧客、機能、技術の3つの軸に沿って事業の定義を考え直していくで、将来に向けての成長路線を明らかにすると同時に、自ら拠って立つ経営資源は何かが浮き彫りになっていくのである。また、新しい事業の定義を導入することで、対象市場が異なってくるという問題がある。
事業の定義が異なると、①顧客のタイプやボリューム、②競合する企業、③流通チャネルに求められる用件が異なってくる。
マーケティング近視眼
事業を狭く定義し過ぎること。HBSのセオドアレビット教授が名付け親であり、4分の1インチドリルが100万個売れた時に、消費者は、4分の1インチドリルを買いたかったのではなく、4分の1インチの穴が欲しかったのである。
(EX)アメリカの鉄道会社は、「鉄道事業」と定義していたため、飛行機や自動車が発達すると衰退した。もし、鉄道会社が、「輸送会社」と定義して、長距離バスやレンタカー事業を展開していれば市場は拡大していたと考えられる。
事業の定義のポイント
①顧客が本当に求めているものは何か。
(EX)アート引越しセンターは、顧客が本当に求めているものは何かを考え抜くことで、引越し業のイノベーションを起こした。アートは、これまでは、運送業であったが、引越ししようとしている消費者が欲しいのは、トラックでも運送サービスでもなく、「生活の移転」であると気づいた時、引越しビジネスが誕生した。これにより、荷物の運送だけでなく、下見、見積もり、掃除、片付けなどの付加的なサービスをするようになり、荷物を輸送することは、サービスの一部でしかない。
②そもそも何をすべきなのか。
事業の定義にあたっては、何をすべきなのかについてよく考えることが重要である。技術の変化や消費者の要求の変化、さらに競合する製品サービスの変化といった様々な変化によって「何をすべきか」が変化していくことに、企業は絶えず気をつけておかなければならない。
マーケティング遠近眼の罠
マーケティング近視眼を避けることをあまりにも強調し過ぎると、逆にマーケティング遠視眼に陥ることになりかねない点は注意が必要である。
(EX)1960年代のGEは、マーケティング近視眼を避けようとして社内の改革を行った。電線事業部→建設資材事業部、メーター事業部→計測機器事業部、制御機器事業部→オートメーション機器事業部に変更した。しかし、それと引き換えに、広い事業の定義に応えるためには、投資が必要になり、収益を得るまでには時間がかかる。各事業部が自分の事業を賄っていくのは難しくなり、全社的に資金面での余裕が乏しくなる。これが遠視眼の弊害である。それは、PPMの導入である程度解決できるが、事業の定義の重要性は低下するわけではない。同じ製品サービスにかかわる同一の業務に対する資源配分も事業の定義次第で異なってくるからである。
PPMとの関係
どのような事業と定義するかで、PPMから導き出される指針が異なってくる。まず、事業の対象を広くとるのか、狭くとるのかという問題がある。加えて、事業を通じて、「誰に(どのような顧客に)」「何を(どのような機能を)」「いかに(どのような技術で)」提供しようと考えることが重要である。
(EX)スカンジナビア航空(SAS)
SASの顧客満足プログラムは、エアラインサービスに新しい事業の設計図を持ち込むものだった。SASは、まず自社の顧客を「ビジネスマン」と定義し、その満足度の向上を最重要課題とした。そして、提供する機能として、ビジネスマンの満足度を高める鍵は、「時間」であると考え、「定時に出発して定時に目的地に到着する」ことや、「時間を節約する」ことを大事にしていると考えた。そして、ビジネスマンの飛行機への乗り降りを優先的にするために、直行便のスケジュールを増やしたり、機内に荷物は持ち込めるように通路を広げるなど機内設計を変更したりした。
つまり、
誰に→ビジネスマン
何を→時間を節約する。
どのように→機内に荷物を持ち込める。直行便を増やす。
また事業の定義を行うことと連動して、基軸となる経営資源の判別が行われる。この基軸となる経営資源をコアコンピタンスと呼ぶ。
自らの拠って立つ経営資源を明らかにする。
①成長の鍵は何か。
②自社の基軸となる資源は何か。
(EX)富士ゼロックス
富士ゼロは、米ゼロが開発した大型コピー機を大手ユーザーに販売していた。米ゼロは、これに加え、レンタル制度などのコピーサービスを販売しており、これは、顧客が求めているのは、機械ではなく、それが果たす機能だと考えた。対して、富士ゼロは、大型に加え、卓上型の小型コピー機を新たに開発しようとした。
つまり、富士ゼロAは、技術と機能をそのままに顧客の拡大を、米ゼロBは、顧客をそのままに、技術と機能の拡大をはかるという成長路線の違いを表している。
このように、新しい事業の定義の採択が企業の基軸となる経営資源(コアコンピタンス)の判別と連動しているということである。顧客、機能、技術の3つの軸に沿って事業の定義を考え直していくで、将来に向けての成長路線を明らかにすると同時に、自ら拠って立つ経営資源は何かが浮き彫りになっていくのである。また、新しい事業の定義を導入することで、対象市場が異なってくるという問題がある。
事業の定義が異なると、①顧客のタイプやボリューム、②競合する企業、③流通チャネルに求められる用件が異なってくる。
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